近年話題の「ジオターゲティング」とは?仕組みや特徴、ジオターゲティング広告のメリットなどを詳しく紹介
この記事をシェアする
マーケティングにおける「ターゲティング」とは、市場の細分化(セグメンテーション)を行い自社がターゲットとする市場を絞りこむことです。同様にWeb広告にも、ユーザーの属性や興味関心などに基づいて特定の層に広告配信を行う「ターゲティング広告」があります。狙ったユーザーにピンポイントで訴求し費用対効果を高められるのが特徴で、広告運用に関わったことのある方ならよくご存じではないでしょうか。
Web広告のターゲティングには様々な手法がありますが、中でもここ数年注目されているのが、位置情報を利用した「ジオターゲティング」と呼ばれるものです。今回はこのジオターゲティングの仕組みや特徴などについて詳しく解説いたします。
今すぐ使える無料レポートテンプレート
ご入力いただいた方は「個人情報の取り扱いについて」に同意したものとみなします
目次
ジオターゲティングとは
ジオターゲティングの「ジオ」は「Geography(地理)」からきており、言葉の意味としては「地理的位置に基づくターゲティング」ということです。
いわゆる地域密着型のサービスを提供している企業や店舗は、来店やサービス利用が見込まれる商圏に対して、該当する地域の特色や需要を踏まえて最適な広告宣伝や集客を行う必要があります。
こうした、マーケティングの対象エリアを限定したいケースにおいてジオターゲティングは非常に有効な施策です。ユーザーの居住地や現在位置に応じた広告や情報を提供してマーケティング効果を高めることができます。
また位置情報を得られるということは、そのユーザーの行動履歴を追えるということです。利用したサービスや訪問した施設、その時間帯や頻度などを分析してターゲットへのアプローチが可能となります。
近年のデジタルデバイス普及を背景に、通信環境やテクノロジーの進化に伴い位置情報や行動履歴データの取得が高い精度で行えるようになりました。そのためジオターゲティングの実用性も向上し、効果的なマーケティング手法として注目されるようになってきたのです。
「アドレポ」のレポートテンプレートは、無料でダウンロードしてご利用いただけます
⇒Excelファイルでダウンロードする
ジオターゲティングの仕組み
ジオターゲティングではユーザーの位置情報を利用したターゲティングでありますが、その位置情報を取得する主な手段をご紹介します。なおジオターゲティングで利用されるのはあくまで位置情報で、個人情報は特定されません。
GPS
GPS(全地球測位システム)とは、人工衛星を利用して端末の位置情報を測定する仕組みです。地上約2万km上空を周回する複数のGPS衛星から電波を受信して端末の位置を計測しています。
GPSは自動車のカーナビやスマートフォン、スマートウォッチなどに搭載されており、経路案内や地図サービスなどで日常生活に欠かせない存在となっています。
携帯基地局
携帯基地局とは、携帯電話やスマートフォンの電波を送受信する設備のことです。1つの基地局で対応できるユーザー数や通信量は決まっており、利用者が多いエリアでは基地局の数も増える傾向にあります。
この携帯基地局の情報を利用して、携帯端末のおおよその位置を確認することができます。GPSの電波による位置測位が困難な屋内や地下でも利用できるのが特徴です。
Wi-Fi
無線通信技術の一つであるWi-Fiは、インターネットに接続する手段として広く利用されています。
Wi-Fiを利用した位置情報取得は、全国各地にあるWi-Fiアクセスポイントとその位置情報を結びつけた位置情報データベースをもとに行われます。携帯基地局と同じく、GPSの電波が届かない場所でも利用可能です。
IPアドレス
IPアドレスはインターネット上の住所にあたるもので、ネット上の通信機器に重複することなく割り当てられます。
このIPアドレスと紐づけたデータベースを利用して端末の位置情報をある程度判定することができます。ただし詳細な地理的位置までは把握できません。
ビーコン
ビーコンとはBluetoothの信号を発信できる端末のことです。スマートフォンなどの受信端末がビーコンの信号を感知すると、そのビーコンの位置情報をサーバーに送信する仕組みになっています。その受信端末に対して、エリアや店舗に関する情報をリアルタイムに発信するといった活用方法が一般的です。
ジオターゲティングに基づくWeb広告配信
ターゲットユーザーを地理的位置で絞り込むのがジオターゲティングですが、そのターゲットに対してどのようなアプローチを行うかはケースバイケースです。WebサイトやWeb広告、スマホアプリ、SNS、紙媒体など、様々な情報発信の方法があります。
本章からは、特にジオターゲティングを用いたWeb広告(ジオターゲティング広告)について詳しく見ていきます。
「ジオターゲティング広告」とは、上述したような方法によって取得した位置情報や検索履歴を利用して、特定の地域や場所に居住・滞在するユーザーや、過去に滞在したことのあるユーザーに対してWeb広告を配信する手法です。「位置情報広告」「エリアターゲティング広告」などとも呼ばれます。
またジオターゲティング広告はユーザーの位置情報や行動履歴に基づいて効果的な配信を行うものですので、BtoBよりもBtoCのビジネス、つまり個人顧客向けの実店舗や施設での広告宣伝に向いているといえます。
Web広告の主なターゲティング
Web広告のターゲティング機能には、ジオターゲティング以外にもいくつかの種類があります。ここでよく利用されるターゲティングを簡単にご説明しておきましょう。
いずれも広告を配信する対象を絞り込むという点では同じですが、それぞれの特徴をよく理解した上で、臨機応変に使い分けることが広告のROIを高めるのに重要です。
オーディエンスターゲティング
オーディエンスデータ(ユーザーの属性情報やサイト閲覧・行動履歴などのデータ)に基づくターゲティングです。
どこに配信するか(広告枠)ではなく、誰に配信するか(人)を決めて広告配信を行うのが特徴です。
コンテンツターゲティング
Webサイトのコンテンツ内容に基づくターゲティングです。
任意のキーワードやトピックなどの要素を設定し、これと関連性の高いコンテンツが掲載されたWebページに広告を配信できます。特定のコンテンツと親和性のある広告に向いています。
デバイスターゲティング
ユーザーが利用するデバイスに基づくターゲティングです。
パソコン・スマートフォン・タブレットといったデバイスを指定し、特定のデバイスに広告を配信します。スマホアプリのように使用デバイスが限定されるサービスの広告に向いています。
ジオターゲティング広告のメリット
ジオターゲティング広告はベンダー各社から様々な媒体が提供されていますが、共通して次のようなメリットがあります。
特定地域にピンポイントで配信できる
通常の検索広告やディスプレイ広告はユーザーの所在地に関わらず配信されるため、ターゲットエリアが限定される広告(特定の市町村や店舗周辺など)だと、無駄なインプレッションやクリックが発生することになります。
その点、ジオターゲティング広告はエリア・地域を限定してピンポイントで広告配信を行えるため、上記のような広告配信の無駄をなくすことができ、省コストやエンゲージメント率の向上を期待できます。
行動履歴を踏まえた広告配信を行える
特定のユーザーが「過去どんな場所に、どのくらいいたのか」という履歴には、そのユーザーの趣味嗜好が少なからず反映されるものです。
例えばアパレルに関心の高い人は洋服店に頻繁に行くでしょうし、複数のモデルハウスや住宅展示場を訪れている人は家探しの最中だと予測できます。こうした情報を活用して、より効果的な広告配信を行えるのがジオターゲティング広告ならではの特徴です。
O2O施策に効果的
ジオターゲティングの基礎となるのはインターネット上の情報や行動ではなく実世界での地理的位置であるため、ジオターゲティング広告はO2O(オンラインからオフラインへの誘導)施策において非常に有効です。
「店舗の近くに住んでいるユーザーにセール関連の広告を配信する」「イベント会場から半径数km以内のエリアに参加者限定の告知を行う」など、地域密着型のサービスでの集客・マーケティングに力を発揮します。
他のターゲティングと組み合わせが可能
広告媒体によっては、位置情報のみによるターゲティングだけでなくユーザー属性や検索履歴などのデータを用いた複合的なターゲティングも可能です。
「店舗から自動車で30分圏内に居住する20~30代の男女」「過去1ヶ月に競合店舗またはガソリンスタンドに来店したことのあるユーザー」のような、より高精度で柔軟な広告配信を行えます。
ジオターゲティング広告と運用型広告の「エリア指定」の違い
Web広告運用に携わったご経験のある方なら、ここまでお読みいただいて「ジオターゲティング広告って、Google広告の配信エリアターゲティングと何が違うの?」と疑問に思われるかもしれません。
よく知られている通り、一般的な運用型広告(Google広告やyahoo!広告など)でも配信エリアを限定して広告配信を行うことが可能です。一方でジオターゲティング広告と運用型広告の地域ターゲティングでは、次のような違いがあります。
エリア指定の粒度
運用型広告の地域ターゲティングでは、都道府県や市町村または特定地点からの距離(半径1kmから)でのエリア指定が可能です。一方でジオターゲティング広告では、半径数メートル~数十メートルでの細かいエリア指定ができ、さらにマップ上で範囲を自由に指定できる媒体もあります。
ターゲティングの種類
ジオターゲティングでは、特定施設への来訪履歴や施設のカテゴリなど、一般の運用型広告では対応していないデータ・情報でのターゲティングが可能です。媒体によっては、車検データや鉄道の利用路線といった独自のデータでターゲティングを行えるものもあります。
一方でGoogle広告では「カスタムオーディエンス」の設定によって柔軟な配信を行えますので、広告内容や目的によってはこちらのほうが適しているケースもあるでしょう。
広告予算
運用型広告ではキャンペーンごとに広告予算を自由に設定できます。一方でジオターゲティング広告では多くの場合、広告媒体によって最低出稿金額が設定されており、クリック単価では運用型広告よりも高額になる傾向があります。
ただし先に申し上げた通り、配信精度の高さがジオターゲティング広告の強みです。硬化的な広告配信により費用対効果が高まり、結果的にコンバージョン単価は運用型広告よりも抑えられる可能性もあります。
Google広告の地域ターゲティングとは
上述の通り、Google広告の地域ターゲティングを設定すれば広告主が希望するエリアに絞った広告配信が可能となります。これまでジオターゲティング広告を使ったことがなく「一度試してみたい」という方は、まずGoogle広告の地域ターゲティングを利用されることをお勧めします。使い慣れたGoogle広告のインターフェースで設定でき、システムの利用費もかかりません。
地域ターゲティングの種類
Google広告の地域ターゲティングでは、次の3種類があります。
- 国
国全体または複数の国に対して広告を配信します。
海外展開しているビジネスやショップの宣伝に向いています。 - 国内の地域
指定した単一または複数の都道府県・市町村に広告を配信します。
一部の地域に提供している商品やサービス、特典の宣伝に向いています。 - 特定の地点を中心としたある半径内
マップ上のある地点から一定の距離内(1km以上で任意に設定可)に広告を配信します。
特定の店舗・施設周辺を商圏とするビジネスやショップの宣伝に向いています。
また「広範な地域ターゲティング」を使用すると、対象地域にいるユーザーだけでなく、その地域に「関心を持つ」ユーザーにも広告を配信できます。
特定の地域を除外したり(例:新宿区以外の東京都内に配信)、複数の地域をリスト化して一括指定したりすることもできます。
Google広告でのおすすめの配信設定
上記の地域ターゲティングと、Google広告の既存の機能を組み合わせることで、さらに効果的にジオターゲティングを展開できます。
地域ターゲティング+広告カスタマイザ
Google広告の「広告カスタマイザ」は、ユーザーの検索語句や場所などに合わせてテキスト広告の文面を動的にカスタマイズする機能です。
多くのユーザーは、近隣の店舗や飲食店を探す時に「(地名)+(商品名)」で検索する傾向が強いです。広告カスタマイザを利用すれば、地名を含めた複合検索に対してその地名を挿入した広告文が表示されるので、クリック率の向上につながります。
活用例:地域ターゲティングで「中央区」を設定し、広告カスタマイザで広告文「{○○}の寿司なら」を登録。「銀座 寿司」で検索したユーザーには「銀座の寿司なら」を表示できる。
地域ターゲティング+キーワードごとのURLカスタマイズ
Google広告では、広告クリック後に開くページ(ランディングページ)のURLを通常は広告ごとに設定しますが、キーワードごとに個別のランディングページURLを設定することもできます。
ターゲットエリア別に地域性の高い内容のLPを用意しておき、エリア名をキーワードに設定しておけば、エリア名で検索したユーザーをより訴求力や利便性の高いページに直接誘導でき、CVR向上を期待できます。
活用例:千代田区・中野区・世田谷区にチェーン店を構えるラーメン店が、各店舗の詳しい情報を掲載したLPを用意。「千代田区 ラーメン」などで検索してきたユーザーをその区内にある店舗のLPに直接誘導できる。
地域ターゲティング+住所アセット
Google広告には「住所アセット(旧名称:住所表示オプション)」というオプション機能があります。これは広告が表示された時に、広告主の店舗やオフィスの住所、地図、現在地からの距離などの情報を一緒に表示する機能です。
住所アセットをクリックすると所在地がピン止めされたGoogleマップが開くため、ユーザーを実店舗に誘致するのに大変有効です。さらに問い合わせをしやすいよう電話番号や通話ボタンも表示できます。
活用例:周辺に多くの競合店が集まる喫茶店が、店舗から半径1km内に住所アセットを設定した広告を配信。エリア内で漠然と喫茶店を探しているユーザーに対して、広告とあわせて自店舗までの道のりや所要時間を表示し、足を運びやすくする。
ジオターゲティング広告を成功させる秘訣は?
今回はジオターゲティングとジオターゲティング広告について解説しました。
ジオターゲティング広告では、飲食店のように地理的な商圏がある程度定まっている場合や、オフラインの行動履歴(特定の場所への訪問など)を基にしたターゲティングを行いたい場合で特に効果を発揮します。皆様のビジネスやマーケティング戦略に適切と判断されたら、ぜひジオターゲティング広告をご活用いただきたいと思います。
また市区町村程度の絞り込みで問題なければ、Google広告の地域ターゲティングは設定も難しくありませんしシステム利用料もかかりませんのでお勧めです。
最後に、全ての運用型広告に共通して言えることですが、ジオターゲティング広告で成果を挙げるためには何といっても継続的なPDCAが大切です。
配信方法や広告内容をリアルタイムで変更できるというWeb広告最大の特徴を生かして、ターゲットエリアのセグメントや広告のクリエイティブを様々なパターンで設定し、日々の配信結果をもとに分析・改善の試行錯誤を繰り返しながら運用をブラッシュアップしていきましょう。
広告運用のPDCAには運用成果を集計したデータレポートが不可欠であり、かつ日次・週次・月次など定期的にデータを追いかける必要があります。
手間のかかる広告レポート作成業務は、弊社のレポーチ自動化ツール「アドレポ」がお力になれます。アドレポでは、今回ご紹介したGoogle広告やYahoo!広告などの都道府県別データの集計・レポーティングにももちろん対応しておりますので、貴社の業務効率化にお役立てくださいませ。
アドレポにご関心をお持ちくださった方のために詳しい資料を無料でご提供しております。こちらのリンクからダウンロードしてください。
この記事をシェアする