Webマーケティングは広告戦略の柱!マーケティング戦略の重要性とWeb広告運用・レポーティングのポイントを解説
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今日、Web広告の運用はすでに広告代理店の専売特許ではなく、マーケティングやコンサルティングに関わるすべての企業・個人にとって無関係ではいられないものです。
皆様は、Web広告で成果を上げるために大切なものは何だと思われますか?広告媒体に関する知識や経験はもちろんですが、最も大切なものは「目標を明確に持つこと」です。
そして広告運用の目標・目的を正しく設定するために欠かせないのが「Webマーケティング」の視点です。
今回は、Web広告の運用担当者にぜひ知っていただきたいWebマーケティング戦略の重要性や戦略の立て方、またマーケティング戦略に基づく広告運用や広告レポートのポイントについて具体的に解説します。
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目次
広告代理店もマーケティングスキルを求められる時代
このコラムをご覧いただいているのは、広告代理店などでWeb広告運用に携わっておられる方が多いのではないでしょうか。限られた広告予算の中でCTR/CVRを高め、いかにして費用対効果を高めるかに日々尽力されていることと思います。
Web広告で成果を出すには、広告媒体そのものについての幅広い知識やスキルが必要なのはもちろんですが、さらに高い次元でターゲット層へのプロモーションを成功させるには、Web広告運用を「マーケティング」というより広い視点から捉える必要があります。
運用担当者は、クライアントの現状と市場での立ち位置を知り、組織の経営活動として何を目標に進んでいるのかを深く理解していることが、より的確な広告戦略を打つ上で大きなプラスになります。ある意味で、Web広告のスキルや経験を身に付けること以上に重要かもしれません。
実際、近年は業界の傾向として、マーケティングを生業とするコンサルティング会社と広告代理店会社の垣根がなくなってきているといわれます。
つまり「広告」代理店といっても、ただ広告を配信・運用して多くのアクセスを集めるだけが仕事ではなく、より上位概念といえるマーケティング戦略の部分においても、広告運用のプロという立場からクライアントをサポートできる提案力を強みとする代理店が増えているのです。こうした強みは競合他社との差別化にもつながる上、本業である広告運用能力の高さの裏付けにもなるでしょう。
ユーザーの消費動向はますます多様化・複雑化しています。莫大な広告費をかけて広告を出し続けさえすれば多くの顧客が物を買ってくれる、という時代ではないのです。これまでマーケティングというものにあまり関心のなかった方も、ぜひ本稿を機にマーケティング視点の重要性に目を向けていただければと思います。
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Webマーケティングとは
Webマーケティングとは一言で言うと「Web上で行うマーケティング活動」ということです。具体的には、Web広告やSEO対策など様々な手法を用いて、WebサイトやSNSなどに多くの消費者を呼び込み、商品・サービスの購入やブランド認知などを促すためのプロモーション活動全般を指します。
かつてマーケティングといえば、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌といったいわゆる「マスコミ四媒体」を駆使して広告やプロモーションを行うのが普通でしたが、今日はそれにとって代わるように、Webマーケティングが圧倒的な業界の主流となっています。2021年、Web広告費が初めてマスコミ四媒体の広告費を上回ったのは記憶に新しいところでしょう。
なお、Webマーケティングと似た言葉に「デジタルマーケティング」があります。両者とも様々なIT技術を活用する点は同じですが、Webマーケティングが主に新規顧客の獲得が目的であるのに対して、デジタルマーケティングは既存顧客の育成や見込み顧客の発掘を主眼に置かれます。
Webマーケティングのメリット
従来のマーケティングにはみられない、Webマーケティングのメリットは主に次の通りです。
- 多くの顧客にアプローチ可能
WebサイトやSNSによって、国や地域を問わず幅広く情報発信できるのがインターネットの強みです。多くの新規顧客と接点を作りビジネスチャンスの拡大を期待できる点は、Webマーケティングの最大のメリットと言っても良いでしょう。 - ターゲットを任意に設定できる
Webマーケティングでは、Coockieなどの技術をもとにユーザーの属性や興味関心、行動履歴などのデータを活用して、より確度の高いプロモーションを行えます。自社の商品やサービスにマッチするターゲットに絞ったアプローチも可能です。 - 時間やコストがかからない
従来のマーケティング手法に比べて、施策の実行に要する時間やコストがはるかに少ないのもメリットです。例えば雑誌などへの広告出稿には数十~数百万単位の費用と工数がかかりますが、Web広告だと数十分もあれば広告を配信でき、費用も自由に設定できます。
Webマーケティングと広告戦略
Webマーケティングの活動をごく簡単に示すと、次のような流れになります。
- マーケティング戦略を立てる
マーケティングにおける目標・目的と、その達成に向けた道筋をプランニングする。 - Webサイトに集客する
プロモーションしたい商品・サービス等を訴求するWebサイトを設け、そこにWeb広告やSNS、オウンドメディアなどを活用してネットユーザーを集客する。 - Webコンテンツを体験させる
集客したユーザーに、Webサイト上のコンテンツを通じて商品・サービス等の魅力を訴求する。 - アクションを起こさせる
Webサイト上でユーザーに商品購入・会員登録などのアクションを起こさせる。
Webマーケティングにおいて最初に成すべきは、全体の戦略を立てること。戦略とは、目的を達成するための道筋、方針です。一方、Web広告運用はその次の段階である「集客」の一手法であり、Webマーケティング戦略に対しては「戦術」というべきものでしょう。
何より「目標設定」が大事
Webマーケティングの目標はクライアントによって様々で、例えば次のようなものがあります。
- ECサイトでの商品・サービスの販売促進
- 企業サイトによる自社ブランディング
- SNSでの自社サービスの認知拡大
- メールフォームからの資料請求や会員登録の申し込み獲得
担当者はクライアントの事業内容や経営状況を踏まえて、これから取り組むべきマーケティングのゴールを設定します。実際には「昨対で売上50%増」「3ヶ月以内で100名の会員獲得」といった具体的な数値目標も不可欠です。
目的を明確にした上で、その達成に向かってどう進むか、進むために何が必要かといった「戦略」を策定します。こうした戦略を適切に立てることがプロジェクト成功への必須条件です。
自社商品・サービスの強みや弱み、競合他社の存在、外部環境など、様々な要因を正しく把握した上で、
- いつ(実施期間)
- 誰に(ターゲット層)
- 何を(Web上で訴求する内容)
- どのように(情報発信・プロモーションの手法)
といった計画を練っていきます。
フレームワークを活用した顧客分析
広告戦略を考える上で、まずはWebマーケティングとしての目標と戦略の策定が重要だと前章で申し上げました。そのためには、クライアントの置かれている状況や課題を綿密に把握・分析しなければなりません。
とはいえ、広告代理店の皆様の中には、体系的な顧客分析をやったことがないという方もいらっしゃるでしょう。「いきなりクライアントの分析といわれても、どうすればいいの?」と言いたくなってしまいますよね。
そこでぜひおすすめしたいのが、「フレームワーク」の活用です。
フレームワークという言葉は「枠組み」や「構造」という意味ですが、ビジネスの世界で用いる場合は、「論理的な思考や問題解決、企業戦略の立案を行う上での汎用的な枠組み」といった意味になります。
何もない状態から、いざ顧客分析を進めよというのはかなりハードルが高いですが、フレームワークに沿って思考を展開してゆけば分析をよりスムーズに進められるでしょう。
これまでに、ビジネスシーンで使えるフレームワークとして様々な仕組みが提唱されていますが、ここではその中から、マーケティングや広告戦略の分野で特によく使われる代表的なフレームワークを3つご紹介します。
3C分析
3C分析は、自社(Company)・顧客(Customer)・競合(Competitor)の3つの関係性から現状を分析するために用いるフレームワークです。
コントロール可能な内部要因として「自社」を、コントロールの難しい外部要因として「顧客」「競合」の2つを分析対象にあげています。
- 自社:自社の強みや弱み、他社からの評価など
- 顧客:ターゲット層の属性、顧客ニーズ、トレンドなど
- 競合:競合他社の状況や市場シェア、強み・弱みなど
SWOT分析
SWOT分析は、強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)・機会(Opportunities)・脅威(Threats)の4つの関係性から、自社の現状分析やビジネスチャンスの発見に用いるフレームワークです。
コントロール可能な内部要因として「強み」「弱み」の2つを、コントロールの難しい外部要因として「機会」「脅威」の2つを分析対象にあげています。
- 強み:自社の商品・サービスが持つ強みや長所、得意なこと
- 弱み:自社の商品・サービスが持つ弱みや短所、苦手なこと
- 機会:自社に好影響をもたたす環境変化(政治・経済・社会の動向や業界環境、ユーザーニーズなど)
- 脅威:自社に悪影響をもたたす環境変化(同上)
STP分析
STP分析は、セグメンテーション(Segmentation)・ターゲティング(Targeting)・ポジショニング(Positioning)という3つのフローから、自社の商品・サービスを取り巻く環境や立ち位置を把握分析するために用いるフレームワークです。
- セグメンテーション:様々な指標を用いて市場を細分化する
- ターゲティング:細分化した市場の中から狙うべきターゲット層を絞る
- ポジショニング:競合他社との比較により自社の立ち位置を決める
Web広告の種類と広告戦略
Webマーケティングにおけるゴールと、そこに至るまでの戦略を設定できれば、次のステップは「集客」になります。
マーケティングの要は集客であり、どれだけユーザーにとって魅力的な商品やサービスがあり、それを訴求するWebコンテンツが豊富にあったとしても、そこにユーザーが触れてもらわねば始まりません。
Webマーケティングにおける集客の方法は様々ですが、中でもターゲット層のユーザーを短期間で集客する方法として最も有効といえるのがWeb広告です。マーケティングの目標にかなったターゲット層を効果的に集客できるよう、広告戦略を練った上で実践に移りましょう。
現在最も一般的なWeb広告は「運用型広告」と呼ばれるものです。広告の種類や配信内容、入札額、ターゲットなどをリアルタイムで変更・改善しながら広告効果が最適化されるよう運用していきます。
また運用型広告には様々な種類があります。その中から代表的なものを取り上げ、それぞれの特徴や適したターゲット・運用シーンを簡単にご紹介しますので、広告戦略を考える上でご参考になさってください。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、Webサイトの広告枠に掲載される画像広告やテキスト広告、動画広告のことです。Webサイトのコンテンツ内容に関連した広告が表示されるため「コンテンツ連動型広告」とも呼ばれます。ユーザーの興味関心や属性に合わせた広告表示も可能です。
(こんな時におすすめ)
宣伝したい商品やサービスの潜在ユーザーにもアプローチできるため、あまり属性を絞らず幅広いユーザー層への認知拡大を行いたい場合に有効です。
リスティング広告
Google・Yahoo!などの検索エンジンの検索結果ページに表示される広告です。検索キーワードに関連した広告を表示することから「検索連動型広告」とも呼ばれます。広告の表示位置は入札単価や広告ランクによって決まります。
(こんな時におすすめ)
ユーザーが自ら興味関心を持って検索した内容・タイミングで広告表示ため、商品・サービス等に明確なニーズを持っているユーザーにアプローチできます。コンバージョン獲得につながる可能性も高い広告です。
SNS広告
Facebook・Instagram・TwitterなどのSNSプラットフォームに配信する広告です。
各SNSが独自に保有するユーザーのデモグラフィックデータと行動データをもとに、詳細なターゲティングを行えるのがメリット。ユーザー間での共有・拡散がされやすいのも特徴です。
(こんな時におすすめ)
SNSの普及率が非常に高い若年層をメインターゲットとする場合や、ユーザー間の口コミによるプロモーションを期待したい場合には特に有効な広告です。
動画広告
Web動画によって商品やサービスの魅力を訴求する広告です。音声やアニメーションによって、画像やテキストだけでは難しい、多くの情報やインパクトを閲覧者に伝えられるのが特徴。一方で動画のクオリティが広告成果を大きく左右するため制作のハードルは高いといえます。
(こんな時におすすめ)
動画との親和性が高いSNSでの広告宣伝や、特にビジュアル面の訴求力が必要な商品・サービスのプロモーションにおいては欠かせない広告形態の一つです。
リターゲティング広告
過去にWebサイトを閲覧したユーザーを対象に表示される広告です。
Webサイトで興味のある商品・サービスに触れた後、すぐに購入せず他サイト等で情報収集するユーザーに対して、サイトへの再訪問や購買行動を促す効果があります。
(こんな時におすすめ)
特に即決即断が難しい高額商品や、競合他社との比較をされやすい商品、リピート購入を勧めたい商材のプロモーションに有効です。
アフィリエイト広告(成果報酬型)
広告経由で商品やサービスが購入された時のみ報酬が発生するタイプのWeb広告です。アフィリエイターと呼ばれる人たちが運営するWebサイトやブログに、商品・サービスの紹介とあわせて広告が掲載される形が一般的です。
(こんな時におすすめ)
広告費を極力抑えつつ成果を出す必要があり、かつ商品・サービスのブランドイメージをあまり重視しない場合は有力な選択肢となります。(広告宣伝が基本的にアフィリエイター任せになるため)
PDCAの繰り返しで広告戦略をアップデート
このようにWeb広告には様々な形態があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。大切なのは、こうした広告の種類をたくさん知っていることではなく、多種多様な広告を適材適所で使いこなせることです。掲載媒体やターゲット、宣伝内容に適した広告を選んで戦略的に運用できれば、大きな集客効果を期待できるでしょう。
Webマーケティング戦略と同様、広告戦略を考える上でも、顧客や競合の分析は非常に重要です。先にご紹介したフレームワークなどを活用しながらクライアントの現状や課題を把握し、どんな広告媒体やターゲットユーザー、クリエイティブを設定すればよいかを判断します。ここでは担当者の主観やこだわりではなく、あくまで客観的な分析結果が重要です。
もちろん、計画した広告戦略に対して思い通りに事が運ぶとは限りません。期待した成果が得られない、予算管理がうまくいかないなど問題が生じれば、臨機応変な戦略の見直し・軌道修正も必要です。
広告戦略の見直しには、運用のPDCAが必須です。運用成果をレポーティングし、結果を分析し、改善すべき点を改善していく。現状の広告運用がマーケティング戦略に沿ったものになっているかを常に意識しながら、PDCAの繰り返しで広告戦略をアップデートしていきましょう。
広告戦略と広告レポート
Web広告運用のPDCAに欠かせないのが、広告媒体の運用データを集計・整理した「広告レポート」です。
広告レポートは、広告代理店の皆様にとってはすでにおなじみのものだと思いますが、単に広告のパフォーマンスを数値で羅列するだけでは、広告レポートとしては少々物足りません。
Web広告がWebマーケティングの一環だということを考えれば、広告レポートを作る上でも、現状の広告運用がマーケティング戦略、広告戦略にかなっているか否かを示すものになっていれば理想です。
運用担当者が顧客のビジネススキームや経営戦略まで理解した上で、それに対してWeb広告運用がどれほど貢献できているか、レポートに示された数値や項目がマーケティング戦略とどのように関連づいているかを分かりやすく示せれば、クライアントからの信頼は一層高まるでしょう。
まとめ
Webマーケティング戦略の重要性と、戦略に基づく広告運用についてご説明しました。
Web広告で成果を出すためには、広告そのものに関する知識の習得はもちろん、クライアントの強み・弱み、広告でPRする商品やサービスの特徴、競合他社の状況、市場背景など、様々な要因を考慮しながら広告運用の戦略を立てていく必要があります。
指定された媒体や予算で広告を走らせているだけの、言葉通りの「代行業」では、本当の意味でクライアントの満足を得るのは非常に難しいでしょう。
そして運用中は、広告戦略にかなったパフォーマンスを得られているか継続的に検証し、PDCAを回しながら改善していくことが必要です。運用成果の検証には広告レポートが欠かせません。レポート自動化ツール「アドレポ」で作成したスマートな広告レポートを、ぜひWebマーケティングの成功と広告戦略の推進にご活用ください。
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