Web広告運用の最適化に必須の施策!ディスプレイ広告の「ABテスト」のポイントや手法を詳しく解説
この記事をシェアする
様々なWebマーケティング施策がある中で、Web広告配信は重要なタスクの一つです。効果的な広告戦略を展開するためにマーケターは知恵を絞り、広告担当者はより費用対効果の高いクリエイティブ制作を目指します。
Web広告に載せるキャッチフレーズや画像、デザインは、過去の実績やマーケティングデータに基づいて決定され、多くの場合、複数の案の中からより大きな訴求力を期待できる広告を選びます。それでも、様々な選択肢の中からどの広告パターンが最も効果を発揮するのかは「広告を出してみないと分からない」という面が多分にあるのも事実です。こうした場合に有効なのが、少ないリスクで広告効果を図る「ABテスト」です。
今回はWeb広告の一つである「ディスプレイ広告」のABテストについて、実施時のポイントや実際の手法などを解説していきます。
広告運用と一言で言っても、作業は山のようにあり、担当者が疲弊してしまうことも。
運用者を少しでも作業から解放してくれる手法とツールを資料でご紹介しています。
制作/運用/集計/分析の効率化の秘訣
ご入力いただいた方は「個人情報の取り扱いについて」に同意したものとみなします
目次
「ABテスト」とは?
まず始めに、ABテストとは何かについて確認しておきましょう。
ABテストとは、ある評価対象において、その内容や構成を部分的に変えた複数のバージョンを作成し、これらを同時に比較して最も優れたものを選択するという手法です。ABテストはマーケティングやWeb開発などの分野で広く取り入れられています。
なお「ABテスト」という名称ではありますが、必ずしも2バージョンの比較のみを指すわけではなく、3つ以上の広告をテストするケースもあります。
例えば広告のABテストだと、キャッチコピーだけを変更した2つの広告を作成し、それぞれ同じタイミングで媒体に掲載します。そして各々の広告パフォーマンスや閲覧者の反響を調べ、より大きな効果を得られた広告に一本化して広告費を集中するといった施策が取られます。
なおABテスト自体は実施する媒体を限定するものではありませんが、一般的にはWeb広告やLP(ランディングページ)などWeb媒体の最適化のためにABテストを行うことが多いです。本稿も、特に注記のない限り「Web広告のABテスト」を前提とした内容となっていますのでご了承ください。
ABテストを行う目的は「広告の改善」
ABテストの具体的な手法は後述しますが、実施に伴い相応の手間がかかるのは確かです。何かと忙しい広告担当者の方々からすると「いちいちABテストをやるのは面倒…」と思われるかもしれませんが、それには大切な目的があります。
Web広告運用でABテストを行う目的は、広告の精度を高めてCV率などの成果数値を改善することに他なりません。
クリエイティブに関わる方々ならお分かりかと思いますが、宣伝したい商品・サービスの魅力やメリットを、広告上でどのように表現するかに迷うことはしばしばあります。そんな時には制作者の「過去の経験・勘」に頼るのではなく、実際に候補となる広告をWeb上でテストして正解を導くほうが確実なのは言うまでもないでしょう。
用いる画像1つでも広告のクリック率は違ってきます。そしてユーザーによってはその広告を見るのが1度きりかもしれません。いかにして広告の訴求力を高め、一人でも多くのユーザーに広告をクリックさせるかを考え抜くのが制作者の任務です。そのためにABテストは欠かせない施策といえます。
ABテストを行うメリット
Web広告の改善・最適化のためにできることはABテストだけではありませんが、リソースは限られていますので状況に応じてより効果的でメリットの大きい施策を行いたいものです。ここではABテストを行うメリットについて見ていきます。
低コストで実施できる
ABテストは、基本的には既にある広告の別バージョンを作成して並行運用を行うものですので、テストのために特別な技術や新たなツール等は不要です。また紙媒体やテレビだと、テストバージョンに対するユーザーの反響を調べるのは簡単ではなく、その調査や評価に時間・コストがかかりますが、Web広告なら広告媒体の管理画面からすぐに効果測定ができます。
広告効果に影響する要因が明確になる
ABテストは手法がシンプルな分、その結果が意味するところは明確で、誰にでも分かりやすいというメリットがあります。
冒頭にあげた「キャッチコピーだけを変更した2つの広告を同時に掲載する」という例だと、他の条件は同じわけですから、もし成果への影響が見られればその原因はキャッチコピーの内容にあるのは疑いようがなく、広告担当者はこの改善に注力すれば良いわけです。
柔軟性が高い
初めにも触れましたが、ABテストは必ずしも「二者択一」である必要はなく、3つ以上のテストバージョンを作成して同時にテスト可能なため、PDCAの改善サイクルを効率的に回せます。
また、ABテストの結果が思わしくなければすぐにテストを中止して元の状態に戻せますし、広告配信は継続されるので機会損失のリスクもありません。状況に応じて柔軟な対応ができるのもABテストのメリットです。
ディスプレイ広告のABテストで検証すべき要素
ここからは、Web広告のABテストに関するより具体的な手法を説明していきます。
なおWeb広告には「リスティング広告(テキスト広告)」「ディスプレイ広告(バナー広告)」「動画広告」など様々な形態がありますが、本稿では特にディスプレイ広告のABテストに関して取り上げています。
ディスプレイ広告とは、画像や動画、テキストで構成されるバナー広告のことです。商品・サービスの特徴やコンセプト、訴求したいメッセージを視覚的に訴求できるため、一般にテキストのみの広告に比べてユーザーへの訴求力が高いのが特徴です。
ディスプレイ広告配信にあたり最も必要となるABテストは広告クリエイティブの制作に関するものですが、それだけではありません。ABテストで検証するべき主な3つの要素についてご説明します。
クリエイティブのABテスト
ディスプレイ広告は、テキストのみのリスティング広告よりも構成要素が多く、より効果的な広告を作ろうとする際に「どの要素を、どう組み合わせれば良いのか」の選択や改善は、クリエイターの尽きない悩み所です。そして、正しい選択を行うためにABテストで検証を行う必要性も大きくなります。
ディスプレイ広告を構成する様々な要素に違いを持たせた複数パターンを作成し、ABテストでその効果の違いを比較検証すれば、各要素の良し悪しがデータで明確になります。継続的なABテストの実践で広告をブラッシュアップしてください。
テキスト
商品・サービスの特徴を説明するメッセージやキャッチコピーです。バナー広告に載せられる限られた文字量で、いかに伝えたい内容を端的に、ユーザーに分かりやすく表現するかの言葉選びが重要になります。また企業側が伝えたい内容と、閲覧者が知りたい内容が食い違うことは珍しくありません。その点もABテストによって見えてくるでしょう。
画像
アイキャッチとしての画像もディスプレイ広告によく用いられます。商品の写真だけでなく、印象の良いモデルや動物の写真が使われることもあります。閲覧者のファーストインパクトを大きく左右する、また商品やブランドのイメージ形成にもつながる要素ですので慎重な選択が必要です。様々なパターンをテストしてみましょう。
配色
バナーの背景色や縁取り、文字色など、色の使い方も広告の訴求効果に影響を与えます。色単体の効果だけでなく、赤+白(慶事)、黄色+黒(注意喚起)のように組み合わせが生み出すイメージもあります。また「赤=活力」「緑=信頼感」など色がもたらす心理的影響も見逃せません。ちょっとした配色の違いで、異なる反響が得られるはずです。
デザイン
文字サイズやフォント、画像の配置やトリミング、飾りやドロップシャドウなど、バナー全体のデザインも広告のクオリティに影響する要素です。いわゆる「定石」に沿ったデザインは、多数の閲覧者に違和感なく届く一方で印象が薄くなる恐れがあります。またインパクトに偏ると奇異なデザインになりがちです。ABテストで最適解を見つけましょう。
配信設定のABテスト
クリエイティブの質がディスプレイ広告のパフォーマンスに最も大きな影響を与えるのは確かですが、広告配信の条件やタイミングも重要です。どんなに優れた広告を作っても、適切な配信設定を行わないと十分な効果は得られないでしょう。
ディスプレイ広告配信で設定が必要な項目は多岐にわたりますが、中でも次の3つは特に重要です。同じ広告でもこれらの設定を少し変えることでパフォーマンスに思わぬ影響が出るケースも珍しくありません。手間を惜しまず様々な配信パターンでABテストを重ね効果検証を行ってください。
ターゲティング
ディスプレイ広告は、年齢・性別・居住地などのデモグラフィックや興味・関心などに基づくターゲティングが可能です。例えば、同じデザインの広告でも20代の若年層とシニア層では反応が異なる可能性があります。こうした属性による広告パフォーマンスを検証するにはABテストが有効です。
配信スケジュール
ディスプレイ広告に限らず、Web広告では配信期間を日にちで指定したり、配信したい曜日や時間帯を細かく設定したりすることができます。季節性のある商品の広告効果が時期によって異なるのは想像に難くありませんが、曜日や時間帯による違いは意外と予測しづらいものです。ABテストによって新たな発見があるかもしれません。
デバイス
広告配信先となるデバイス(PC・モバイル)の違いがパフォーマンスにどう影響するかのABテストも有効です。特にディスプレイ広告は同じ内容でもPCとスマートフォンではユーザーへの見え方が違います。ユーザーの多い若年層をターゲットとした商品・サービスの広告配信を行う際はデバイス別の効果検証も行うようにしましょう。
ランディングページのABテスト
ランディングページ(LP)とは、ディスプレイ広告のリンク先となるWebページのことです。一般的には広告宣伝している商品・サービスの特徴や購入のメリットを詳しく説明したシングルページをLPとする手法がよく用いられます。
Web広告を配信する最終目的は、広告からLPに流入したユーザーを、離脱させることなく商品購入や会員登録などのコンバージョンまで導くこと。そのためには広告内容と共に、LPの内容もABテストの実施によりブラッシュアップするのが理想です。
本稿ではランディングページ最適化についての詳説は省きますが、ディスプレイ広告との関連性が高い要素としては、ヘッドライン(LPのファーストビューに表示される大見出し)やメインビジュアル(ページ冒頭のアイキャッチ画像)があります。どちらも訪問者の第一印象やその後の行動を決める重要なポイントであると共に、広告クリックから連続して目にする要素ですので、その流れに違和感を持たれないような工夫が必要です。
ディスプレイ広告のABテストの実施方法
実際にディスプレイ広告のABテストを行う際の大まかな流れは以下になります。全体像を把握した上で、皆様の広告運用に合わせて各フェーズの詳細を詰めていきましょう。
①目的の整理
最初に、ABテストによって達成したい目的・目標を整理します。
ディスプレイ広告のABテストですので、「CTRの改善」や「特定ターゲットからのアクセス増」といった、広告の成果指標に関する目標を設定するケースが多いでしょう。ビジネスを後押しする、かつ現実的な目的を決めてください。
②仮説を立てる
次に、設定した目的を達成するためには「ディスプレイ広告をどうすれば良いか」の仮説を立てます。この仮説を立てず、ただ漠然と相違点を持たせた広告をテストするのでは有意義な検証はできません。
例えば「CTRの改善」を目標としたケースで「この広告バナーでは、商品写真を載せるよりも人物モデルの写真のほうがクリックされやすいのではないか」といった具合です。
③クリエイティブの作成
立てた仮説に基づいて、クリエイティブを作成します。ABテストを行う2つ以上のディスプレイ広告を作成するのですが、この時に重要なのは、検証したい要素以外の部分は全てのバージョンで同じにすることです。先ほどの仮説の例で言えば、写真以外の要素(テキスト、色、サイズなど)は変えてはなりません。
④ABテストの実行
いよいよABテストの実行です。作成した複数の広告クリエイティブを同時に配信して反響を計測します。
詳しくは後述しますが、ABテストの実施期間はあらかじめ決めておき、またテスト期間中は広告の変更などを行わないようにしてください。
⑤検証・分析
ABテスト終了後、テスト結果の分析を行います。各バージョンの広告の重要な指標を集計し、どれがどの程度良化・悪化したのかを比較検証しましょう。
まずは当初に掲げた目的・目標に近づけているかを評価する必要がありますが、その上で、特定の指標に注目するだけでなく、多角的にデータを評価するということも大切です。例えば「バージョンBはAよりもCTRは良かったが、CVRは下がった」といった場合、A/Bどちらを採用すべきかは判断の分かれるところでしょう。こうしたテスト結果の分析にはレポートツールやBIツールの活用をお勧めします。
ディスプレイ広告のABテストを成功させるためのポイント
最後に、ディスプレイ広告のABテストを行う上で気を付けておきたいポイントについてご説明しておきます。特にABテストの実施経験の少ない方は必ずこれらの要点を確認しておいてください。
検証する要素以外は条件を揃える
ABテストを行う際は、比較する特定の要素以外の部分は、全てのバージョンの広告で条件を同じにしなければなりません。
実施回数を短縮したいなどの理由で、1度に複数の要素を比較しようとするのは絶対NGです。そうしなければテストの結果、広告のパフォーマンスに顕著な違いがあったとしても、その原因がどの要素の相違によるものかを正しく評価できないからです。原因が分からなければ、改善もできません。これはABテストの「鉄則」とお考えください。
テストの順序をよく考える
ABテストは1度に1つの要素のみをテストするものですので、テストしたい要素が複数ある時は、どの要素からテストするかの優先順位をよく考えましょう。
ABテストには相応の時間がかかりますので、広告パフォーマンスへの影響が最も多いと予測される要素からテストすればPDCAや最適化のサイクルを早められます。これも上述の「仮説を立てる」ことが重要です。通常は全体に関わる内容(商品の訴求点など)から始め、次第に細かい要素(文字サイズなど)に絞り込んでいきます。
テスト期間を決めておく
ABテストを行う期間はケースバイケースですが、必要以上に期間が長いとテストと無関係の要素(競合や市場の変化など)の影響を受けてしまう恐れがあるため、基本的にはなるべく短期間(1~2週間程度)とするのが良いでしょう。
ただし信頼できるテスト結果を得るためには、ある程度のデータの母数(ユーザー数やクリック数など)が必要です。有効なデータ数に関しては統計の範疇になりますが、当社の経験上は最低でも数百~数千件は必要と考えます。
テスト中に広告を変更しない
ABテストの最中に、各バージョンの広告の内容や配信条件を変更してしまうとテストの意味がなくなります。多数の広告アカウントを運用されている方は誤ってテスト中のアカウントを操作しないように気を付けましょう。
業務上どうしても広告を変更する必要が生じた場合は、一旦テストを中断して対応してください。その場合、テスト再開時と中断前の配信環境に違いがあれば把握した上でテスト結果を評価する必要があります。
ABテストの成果分析・レポート作成には「アドレポ」が大活躍!
今回はディスプレイ広告のABテストについて詳しく解説いたしました。「ABテストという言葉自体は知っていたけど、実際にやったことはない」という方も少なくないと思います。ABテストはディスプレイ広告に限らず、広告配信の最適化・PDCAに非常に有効な手段ですので、これを機会にまだ経験のない広告担当者様はぜひ実践してみてください。
上述の「実施方法」でも触れましたが、ABテストの実施後は必ずその結果を集計・分析し、次なる広告クリエイティブの最適解を導き出します。そして、そのためにはテスト結果である各指標の推移を分かりやすく集計・可視化した広告レポート(クリエイティブレポート)が必要不可欠です。一方で、クリエイティブレポートは数値だけでなくバナー画像の貼り込みなども必要で、手作業での作成は結構な手間がかかります。実際に、ABテストの分析や検証に時間を割きたいマーケターの皆様から「クリエイティブレポートの作成を自動化したい」というお声をしばしばお聞きします。
当社の広告レポート自動化ツール「アドレポ」は、バナー広告画像を含むクリエイティブレポートを自動で作成できる機能を搭載しており、Google広告・Yahoo!ディスプレイ広告・Facebookなど主要広告媒体は全て利用可能。GDNのレシポンシブディスプレイや動画広告のサムネイル出力にも対応しています。
ディスプレイ広告の最適化を積極的にお考えの方々はぜひ「アドレポ」の導入をご検討ください!
アカウント開設300件以上
運用型広告レポート自動作成ツール「アドレポ」
この記事をシェアする