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「データドリブン」とは?導入のメリットや成功のポイントなど、今注目のマーケティング手法を詳しく解説

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近年、マーケティング業界では「データドリブン」という言葉が多くのシーンで使われるようになりました。あらゆるビジネスにおいてデータの重要性は増してきており、Web広告運用に関わる皆様の中にも、耳にしたことがある方は少なくないと思います。
その一方で、「実は意味をきちんと理解できていない」「データドリブンの必要性が分からない」「自分のビジネスフィールドで、どのようにデータドリブンを行えば良いのか」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
当コラムでも何度か触れたことがあるテーマですが、今回は改めて、データドリブンについての基本知識やマーケティングとの関係性について解説したいと思います。

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データドリブンとは?

データドリブン(Data Driven)とは、一言でいうと「様々なデータに基づいてビジネスの意思決定や判断を行い、行動する」ということです。drivenは英語で「突き動かされる」という意味ですので、データドリブンは「データによって動かされる=データに基づいて動く」となります。

データドリブンでどのようなデータが用いられるかは業種やセクションによって異なります。営業なら売上データやマーケティングデータ、Web制作ならサイトアクセスの解析データ、といった具合です。皆様の職場でも何らかのデータを用いてプロジェクト進行の判断を行うことがあると思います。データドリブンは一部の経営層や上層部だけが行うものではありません。

勘や経験だけで乗り切れる時代は終わった

仕事の中で難しい判断を迫られる局面に立った時、かつては、その職場でキャリアが長い社員の経験や勘が重視されてきました。「過去こうやって解決したから、今回もきっとこうだ」「根拠はないが、私の長年の勘ではこちらが正しい」といった判断を下し、度胸をもって実行に移すというものです。これを表現した「KKD」(KEIKEN・KAN・DOKYOU)という言葉があるほどで、製造業を中心に、日本の組織文化の一つともいえるものでした。

しかし、現代社会は変化が激しく、市場ニーズや価値観も多様化しています。過去に正しかった判断や意思決定がいつまでも通用するとは限りません。経験や勘だけに頼るのでなく、あくまで客観的な情報に基づく経営戦略や意思決定を重んじる、組織全体での意識づけが企業に求められているといえます。

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データドリブンが注目されている背景

上述のデータドリブンの説明を見て「それなら、うちでも前からやってるよ?」と思われた方もあるかもしれません。実際、各種データに基づく判断・意思決定というのは以前からも大なり小なり行われていました。それが昨今、ビジネス環境の様々な変化を背景に、データドリブンの重要度がより増してきており、注目されているということです。中でも特に影響の大きい要因として、次の2つがあります。

顧客行動の多様化・複雑化

インターネットの進歩発展を軸に様々な情報媒体や販売チャネルが登場している現在、Web・SNS・リアルをシームレスに回遊するユーザーの購買行動や消費ニーズは年月とともに多様化・複雑化を続けています。

かつて提唱された「AIDMA(注意・関心・欲求・動機・行動)」という購買行動モデルは有名ですが、例えば最初の「注意を集める」フェーズ一つとっても、そのアプローチの選択肢は、顧客との接点が限られていた以前とは比べ物にならないほど広範になっています。さらにこの購買行動モデルも「AISAS」「AISCEAS」「DECAX」「ULSSAS」など進化しているのは、顧客行動が時を追って複雑化している証拠です。

こうした状況下で、過去の経験だけを頼りにマーケティングの判断や意思決定を行うのは不確実性が高いと言わざるを得ず、まして「勘」で渡り切れるものではありません。これに対してデータドリブンの手法は、ビッグデータに基づく客観的な情報分析によって消費者の複雑な購買行動の中から重要なトリガーを探り、時宜にかなった最適な選択を行うことができます。

テクノロジーの進歩

データドリブンへの注目度が高まっているもう一つの理由は、デジタルマーケティングにおけるテクノロジーが飛躍的に進歩している点です。

当然のことですが、データドリブンという手法が効果を発揮するためには、必要十分なデータを収集・可視化できることが大前提となります。一方で従前のマス広告を中心としたマーケティングは企業から顧客層に向けての一方的な発信・アプローチであり、それに対するアクションをデータ化する手法が確立されていませんでした。

Webマーケティングの技術発展と共に、企業と顧客との双方向的な接点が増え、インターネットを介した様々なデータ収集の障壁が低くなりました。さらにビッグデータに含まれる膨大な情報を整理・加工し多層的に分析するデータアナリティクスの技術が向上したことで、より高い精度でデータドリブンを行えるようになり、幅広い業界で意思決定にデータを活かしていこうという意識が広がっています。

データドリブンを行うメリット

初めの章でも触れたように、データドリブンは企業や組織が何らかの意思決定や判断を行う一手法であり、この他にも要件やプロセスに応じて様々な判断基準・手法があると思います。ここでデータドリブンを行うメリットを再確認しておきましょう。

改善点を迅速に発見できる

あらゆるビジネスにおいて、計画・実行・評価・改善を継続する「PDCAサイクル」は業務の質や生産性を高めるために有効なフレームワークとされています。
このPDCAの中でも重要かつ難しいのは「評価(Check)」と「改善(Action)」でしょう。自社の取り組みや成果を自ら振り返り、改善点やウィークポイントを見つけ出すのは簡単ではありません。なぜならその改善すべき対象は、多くの場合、すでに自身が繰り返し検証し良かれと思って実践してきた施策だからです。

業務内容を客観的に評価するためには、数値データに基づくのが最も確実です。上述の通り、現在は関連技術の進歩向上により様々なユーザーデータを取得しやすくなっています。過去の実績と現在の成果を、記憶や先入観ではなく収集したデータで比較し、相違点があればその要因を絞り込み、改善のための仮説を立てて次の施策を計画・実行するというのが模範的なPDCAといえます。またデータを精査することで、それまで気づけなかった問題点が見つかるケースもあります。
あくまで客観的な視点・指標で業務を評価し、改善点を速やかに発見できるのはデータドリブンの利点の一つです。

根拠のある施策が取れる

新規事業の立ち上げ、マーケティング戦略の見直し、Webサイト制作、組織の改編など、企業や組織が何らかの施策を行う際には、まず「なぜ、それをやるのか」という理由・根拠が明確であり、かつ、その理由は施策に関わる人たちが納得できる、説得力のあるものでなければなりません。
「上司の思い付きで」「何となく良さそうだから」「他社がやってるから」といった心もとない理由では社員もモチベーションが上がらないでしょう。

一方、データドリブンによる意思決定には裏付けとなる数値データが必ず存在します。誰かの主観による決定ではなく、客観的なデータの集積と分析から導かれた施策は、その必要性において強い説得力を持ちます。これは関係者にとっても心強いですし、たとえその施策ですぐに思うような結果が出なくてもブレることなく継続できます。

業務の属人化を防ぎ、再現性を高める

最初の章で「KKD」について説明しましたが、これは決してビジネスにおける経験の大切さを否定するものではありません。長い職歴の中で蓄積したベテランの経験が、事業での意思決定に重大な影響を与えることも往々にあります。
ただ、この「経験」というのは個人のスキルに大きく依存する、非常に属人性の強い要素です。通ってきたキャリアは十人いれば十人違うものですし、また経験豊かな人の知見を一朝一夕に身に付けられるものでもありません。事あるたびに誰かの経験に基づく判断に頼らざるを得ないのは、パフォーマンスの再現性が低く、企業や組織としては非常に不安定な状態といえるでしょう。

繰り返し申している通り、データドリブンは収集したデータの分析から得られた結果をもとに判断や決定を行うものです。データは人を選びません。参照するデータや分析プロセスが同じであれば、誰の手によっても同じ結果を示します。そこから属人性のない、再現性の高い判断・アクションを行えるようになるのです。また要件が変わっても、同様のロジックやプロセスに基づくデータドリブンにより適切な判断を行えます。

マーケティングでのデータドリブンを行う4つのプロセス

ここからは実際に、マーケティングの現場でどのようにデータドリブンを行うかを、次の4つのプロセスに分けて解説していきたいと思います。

①データの収集
②データの加工・可視化
③データの分析
④意思決定と共有

①データの収集

データドリブンを行うためには、何はなくともデータの収集が不可欠です。
データ収集の方法はビジネスモデルによって異なりますが、WebサイトやWeb広告を中心としたマーケティングであればアクセス解析ツールやWeb広告ツールを活用すれば比較的容易にユーザーデータを集められるでしょう。
企業が保有する基幹システムやCRMのデータも活用できます。もし企業内の部署に各種データが散在している状態であれば、データフォーマットの整理や共有方法などを部署間で連携する必要があります。それらを一元管理するDWH(データウェアハウス)の導入などもご検討ください。
※ DWHについては、こちらのコラムで解説していますのでご関心のある方はご覧ください。

データ収集する上で注意が必要なのは「検証したい仮説を明確にし」「検証に必要十分なデータを収集する」という点です。ただ無計画にデータを収集していても、肝心の意思決定に必要なデータがそろわなければ徒労に終わってしまいます。最初に、データをもって何を分析・検証したいのかというテーマを持ち、その上で適切な手法を用いて必要十分なデータを収集するという流れです。

②データの加工・可視化

インターネットや各種システムから集めた膨大なデータは、多くの場合、そのままの形では分析や比較を行えません。検証したい内容やデータの用途に合わせて、分析・比較検証できる形に整理・加工し、集計結果のビジュアライズ(可視化)を行います。

例えば皆様も、顧客データをExcelで集計する際に、「氏名」の文字列を「氏」と「名」に仕分けたり、住所表記のハイフンや英数字を半角に統一したりと、用途に合わせてデータ形式を変更された経験はないでしょうか。これはシンプルな例ですが、データドリブンの規模にかかわらず、こうしたデータの加工は欠かせないのです。

加工したデータは様々な角度から集計・検索を行い、その結果を可視化することで次ステップの「分析」につながります。これにはBIツールなどを活用すればより高度かつスピーディーな可視化が可能です。
※ BIツールについては、こちらのコラムで解説していますのでご関心のある方はご覧ください。

③データの分析

データ収集当初に明確化した「検証すべき仮説」に沿って、データを活用した分析を行います。様々なデータを俯瞰し、比較し、表面的には見えなかった傾向や相関性を導き出すのが目的です。こうしたデータ解析が精緻であるほど、そこから得られる判断や意思決定の答えは正解に近づくでしょう。
このデータ分析には、データサイエンティストやアナリストと呼ばれる専門のスキル・経験を持った人材が力を発揮します。

④意思決定とアクション

データ分析・検証の結果を受けて、今後に向けての判断と意思決定、これに従ったアクションを行います。このプロセスが文字通りのデータドリブンといえるものです。
検証結果が想定通りであれば次のアクションをスムーズに行えますが、もし当初の仮説と違っていれば、一旦は判断を見送り、再度の検証を行うこともあります。

また、データドリブンによって施策方針が決定しても、実際にその方針通りに組織的にアクションを起こせるかは別の話です。データ偏重に懐疑的な人たちが社内に一定数いることも珍しくありません。マネージメントの問題になりますが、データ検証の経緯や結果を関係者間で十分に共有し、理解を得ながら事を進めていくのが望ましいでしょう。

データドリブンの注意点

定量的なデータに基づく意思決定は強い説得力を持ちますが、データドリブンも万能ではありません。分析結果を過信して重要な判断を誤らないよう注意しましょう。
ビジネスにデータドリブンを活用するにあたっての注意点を2つご説明します。

①データでは想定できない要因もある

もしこの世の全ての事象がデータで説明のつくものならば、AIを中心としたビッグデータテクノロジーが世界を支配するのでしょう。しかし実際は、そうはなっていません。人間心理も、自然現象も、社会・経済の動向も、データだけでは読み切れない要素が複雑に関わり合っています。
おおよそビジネスの背景には、データの集積だけでは想定できない特別な事象というものがあり、これに影響を受けたデータに基づく施策判断の確度は下がります。データドリブンを実施する場合は、こうした不確実性も念頭に置いておきましょう。全てがいつもデータ通りに再現されるものではないのです。
多くの場合、知識経験を積み様々な可能性の引き出しを持つことで、想定外の事象を踏まえたデータの解釈ができ、分析結果からより重要な部分を読み取れるようになります。

②人材の確保が難しい

ここまで繰り返し「データ分析」という言葉を使ってきましたが、実際にビッグデータの分析・解析を行うためには相応のスキルが必須です。
データアナリティクスを専門的に行う「データサイエンティスト」「データアナリスト」などと呼ばれる人たちは、データ分析の知識や手法に長けているだけでなく、ビジネスやマーケティング、統計学やデータ処理などに関する知識が求められます。そうした人材が社内にいれば良いですが、それが難しければ外部会社のリソースを頼ることになるでしょう。いずれにせよデータドリブンの実施にあたっては、集計・整理されたデータからビジネスの意思決定に関わる課題や改善点を発見できる人材を確保してください。

データドリブンを推進する各種ツール

前章でデータドリブンに必要な4つのプロセスについてご説明しましたが、データ収集にせよ加工・可視化にせよ、各プロセスを手動で行うのは非常に困難です。ここではデータドリブンを実現するために役立つ各種ツールを簡単にご紹介します。

MAツール

マーケティングに関する諸作業やワークフローの自動化を支援するツールです。主に集客後の見込み客化・顧客化の領域で使われており、顧客との接点や行動などに関するデータを分析し、アプローチを最適化するデータマーケティングを推進します。MAは「Marketing Automation」の略。

アクセス解析ツール

Webサイトへのアクセスに関するデータ分析を行うツールです。「Googleアナリティクス」などが有名。対象サイトにトラッキングタグを設置してユーザーの様々なアクセスデータを収集し、多方面から集計・整理・可視化します。Webデータを活用したデータドリブンには必須です。

CRM

顧客の基本情報や購買履歴、問い合わせ内容などを管理するツールです。顧客に関するデータを蓄積して顧客理解を深めると共に、データ分析から適切なマーケティング戦略を導くために必要な機能を有しています。CRMは「Customer Relationship Management(顧客関係管理)」の略。

DMP

インターネット上に蓄積された膨大なデータ・情報を収集・管理するプラットフォームです。外部データの管理を行う「オープンDMP」と社内データを一元管理する「プライベートDMP」があり、他ツールとの連携などによって広告配信などのマーケティングアクションを最適化します。DMPは「Data Management Platform」の略。

BIツール

顧客情報や販売実績、Web広告の運用データなど、様々なデータの集約や分析を行い、その結果を可視化・レポーティングするツールです。専門知識がなくても比較的扱いやすいのが特徴で、多くの企業でデータドリブンに活用されています。BIは「Business Intelligence」の略。

レポートツール

様々なデータを取り込み、集計・分析したレポート作成機能を持つツールです。データの可視化によってデータドリブンを支援します。中でもWeb広告運用データのレポーティングに特化したツールが多く、Webマーケティングにおけるデータ分析や運用の意思決定には不可欠のツールとなっています。

まとめ

今回は、IT時代における企業の意思決定プロセスとして注目を浴びている「データドリブン」について解説しました。
ユーザーの消費行動がますます多様化・複雑化する環境下にあって、これまでのように経験則に依存した経営戦略・事業運営のかじ取りは非常に難しくなっています。ビッグデータという明確な「裏付け」のあるマネジメントがますます重視されてくるでしょう。

とりわけWebマーケティングの世界はデータ収集やアナリティクスのテクノロジーが発達しており、データドリブンという手法との親和性が非常に高いジャンルです。Web広告やデジタルマーケティングに携わる皆様は、本記事を参考にデータドリブンへの理解を一層深めていただければ幸いです。
Web広告代理店におけるデータ活用のメリットにつきましては過去のコラムでも詳しく触れていますので、よろしければご覧ください。

Web広告の運用は、日々の配信データを継続的に収集し、分析や検証を行い、その結果をもとにターゲットや予算、クリエイティブなどの様々な改善を判断・決定します。それこそ毎日がデータドリブンであり、マーケターにとって広告データの集計やレポーティングは欠かせない作業ですが、一方で非常に労力と時間のかかる業務でもあります。
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