Looker Studioの有料版「Looker Studio Pro」とは?無料版との違いや導入のタイミングなどを解説
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広告代理店などでWeb広告運用に日々関わっておられる方々は、業務効率化のために様々なツールやアプリケーションを活用されているかと思います。その中でも、Web広告レポートの作成や運用データ分析に役立つのが、Googleが提供しているBIツール「Looker Studio」です。基本無料で使えるという手軽さもあり、日常的に利用されている方も多いのではないでしょうか。
Looker studioは無料版でも十分優秀なツールですが、「Looker Studio Pro」という有料版があるのをご存じでしょうか。今回はこのLooker Studio Proについて、無料版との違いや導入のタイミングなどを解説いたします。
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目次
「Looker Studioとは」?
Looker Studio Proの解説を始める前に、まずは通常版のLooker Studioについて簡単にご説明しておきましょう。
Looker Studio(ルッカースタジオ)は、Googleが開発したクラウドベースのBIツールです。以前は「Googleデータポータル」という名称で提供されていました。
BIツールとは、企業内に蓄積されている様々なビジネスデータを収集・分析・可視化して経営や業務に活用できるソフトウェアの総称です。データドリブンによる企業の意思決定や課題解決を支援するプラットフォームとして近年注目されています。
代表的なBIツールに「Tableau」「Domo」「Microsoft Power BI」などがありますが、その中でもLooker Studioは、次のようなメリットがあり、非常に多くのユーザーに利用されています。
- Googleアカウントがあれば誰でも基本無料で使用できる
- 直感的かつシンプルな操作で多種多様なデータの可視化が行える
- 外部ツールとの連携性が高く、1,000以上のデータソースに接続可能
- 作成したレポートに固有のURLが発行されユーザー間での共有が容易
Looker Studioについてより詳しく知りたい方は、当コラムの過去記事をご覧になってください。
⇒ 「近ごろ話題のLooker Studioとは?機能や特徴、基本的な使い方を解説!」
Looker Studio Proと無料版の主な違い
冒頭でも触れたように、「Looker Studio Pro」は上述のLooker Studioの有料版です。
Looker Studio無料版の機能を全て使えるだけでなく、大企業・組織向けの高度な機能や技術サポートを利用できるエンタープライズプランとなっています。逆に言うと、小規模の企業やチームでの利用を想定されている場合は無料版でも十分かもしれません。
本章ではLooker Studio ProとLooker Studioの違いをご説明しますので、自社でBIツールの導入を検討されている方はぜひご参考になさってください。
※以下本稿では、無料版のLooker Studioを「無料版」と表記します。
チームワークスペースによるデータ共有
Looker Studio Proと無料版の大きな違いは、無料版では作成したアセット(レポートとデータソース)が個人のGoogleアカウント下で管理されるのに対して、Looker Studio Proでは組織やチームでアセットを共有・管理できる点です。
Looker Studio Proでは「チームワークスペース」というアセット共有機能が設けられており、これにより同じアセットへのアクセス権を特定の組織内で共有や権限管理を行えます。
無料版では各アセットの管理権限が個人に紐づいているため、例えば社内でLooker Studioを利用していたWeb担当者が退職などで不在になる場合、アセットの管理権限の引き継ぎ等が必要になります。もし引き継ぎが行われず担当者がいなくなると最悪の場合、それまで利用していた無料版のアセットが一切閲覧できなくなるという事態も起こりえます。Looker Studio Proではチームワークスペースによって組織・チームで管理できるため、こうしたリスクを避けられるのです。
チームワークスペースは個人またはGoogleグループユーザー(※)と共有でき、チームワークスペースのメンバーにはスペース内のコンテンツへのアクセス権が自動付与されます。またメンバー毎に個別の権限(ロール)を設定することも可能です。部署やチームごとにスペースを設定すれば、各組織で取り扱うデータソースやレポートの管理をより効率的に行えるでしょう。
※ Googleグループ:オンラインで複数人のグループを作成して情報共有やコミュニケーションを効率化できるGoogleの無料サービス
なおチームワークスペース内のアセットは全てのメンバーがアクセス・編集可能となるため、それを避けるためには「サンドボックス」を利用します。サンドボックス内のコンテンツは、共有するかチーム ワークスペースに移動しない限り、他のユーザーには表示されません。
レポート配信機能の強化
Looker Studioで作成したレポートを定期的に確認したい場合、その都度管理画面にアクセスするのは手間がかかりますし、多忙な中で確認を忘れてしまう恐れもあります。そのためLooker Studioには、レポートのPDF版を任意の配信スケジュールに従って自分および関係者に定期的にメール配信できる機能があります。メールにはレポートのプレビューと、レポート全体を表示するためのリンクも含まれているため非常に便利です。
このレポート配信機能について、無料版では配信スケジュールを1件のみ設定可能でしたが、Looker Studio Proなら最大20件のスケジュール設定が可能です。レポートの内容や用途に応じて様々なスケジューリングが行えます。
またLooker Studio Proではレポートの送信先をメールアドレスだけでなくGoogle Chatにも設定でき、グループ間での情報共有がよりスムーズです。
さらにLooker Studio Proでは、無料版にはない「アラート機能」を利用可能です。これは時系列のスケジューリングではなく、Looker Studioレポートのグラフが事前設定した条件を満たしたタイミングで、自分と関係者にメール通知が届くものです。
通知には満たされた条件内容やタイミング、条件をトリガーしたフィールドの値、レポートへのリンクが含まれます。例えば「定期的なレポートは必要ないが、重要指標に大きな動きがあった時だけレポートを確認したい」といった、運用現場でニーズが高そうな設定も可能です。
アラート機能について詳しくは公式ヘルプをご覧ください。
こうした有料版ならではの様々な機能は、重要なレポートデータの変化を見逃さず、適切なアクションや意思決定を行うためには不可欠なものと言えるでしょう。
テクニカルサポートの利用が可能
Looker Studioは初心者にも比較的使いやすいBIツールではありますが、その豊富な機能を十分に使いこなすためには相応の知識やノウハウが不可欠です。また目的やニーズに適したデータ活用や分析を行うにあたっては様々な不明点やトラブルに直面することもあると思います。
Looker Studio無料版では専門のテクニカルサポートというものはなく、利用者が公式のヘルプサイト(Looker Studioヘルプセンター)やコミュニティフォーラムなどから必要な情報を自分で調べる必要があります。しかし、これらの情報をあたっても必ずしも問題が解決できるとは限りません。
一方でLooker Studio Pro利用者は、Google Cloud サポートチームによるテクニカルサポートを受けることができます。サポート利用にあたっては「Google Cloud カスタマーケア」の契約が必要で、スタンダードサポート・エンハンストサポート・プレミアムサポートいずれのプランでもLooker Studio Proのテクニカルサポートを受けられます。
Google Cloud カスタマーケアは、シンプルかつ効率的にサポートをご利用いただくための、お客様のビジネスニーズを中心に据えたスケーラブルで柔軟なサービスです。貴社に最適なサービスをお選びいただいた後に、付加価値サービスでさらにカスタマイズできます。
(公式サイトより)
Google Cloud カスタマーケアについて詳しくは以下をご覧ください。
⇒ https://cloud.google.com/support?hl=ja
その他の無料版との相違点
無料版とLooker Studio Proの相違点について、実務上影響の大きいと思われるものは上記の3点になりますが、その他にも両者の違いはいくつかありますので簡単に触れておきます。
- 高度なアクセス管理
無料版はGoogleアカウントベースでの管理であるのに対し、Looker Studio ProはGoogle CloudのIAM(Identity and Access Management)による詳細な権限設定が可能です。 - 99.9%の可用性SLA
Looker Studio ProにはSLA(Service Level Agreement・サービス品質保証)を提供しており、可用性(システムが継続して稼働できる能力)は99.9%以上とされています。 - モバイルアプリ
Looker Studioモバイルアプリを使用すると、外出中でもLooker Studioのレポートやデータにアクセスが可能になります。
Looker Studio Proを検討すべきタイミング
Looker Studio Proの特徴やメリット、無料版との違いを把握していただけたかと思います。これらを踏まえて、現在無料版をお使いの企業様や担当者様が、さらなる業務効率化のためにLooker Studio Proへの乗り換えを検討するべきタイミングを整理しました。
①チームでの利用が増えた時
組織改編や事業規模の拡大などにより、それまで担当者が一個人で利用していたLooker Studioのアセットを複数の担当者やスタッフで閲覧・共有する必要が生じるケースがあります。この場合、チームワークスペースや高度なアクセス権限管理を利用できるLooker Studio Proが力を発揮します。
②システムの安定性が必要になった時
無料版ではレポートの更新頻度や速度においてパフォーマンスに限界があります。取り扱うデータ容量が大規模になるほどボトルネックになる可能性があり、クリティカルな場面での迅速なレポート活用に不安が残ります。Looker Studio ProはSLAで99.9%の可用性を保証しており、利用者にとって大きな安心材料となります。
③信頼できるテクニカルサポートが必要な時
Looker Studioを使う上で技術的な課題に直面した際、無料版で利用可能なヘルプドキュメントやフォーラムでは問題解決に時間がかかる上、必ずしも求めていた解決策が得られない場合もあります。Looker Studio Proでは、Google Cloud カスタマーケアの専門サポートチームによる迅速な対応と解決が期待できます。
Looker Studio Proの利用料金
どれほど優れたツールであっても、企業である以上費用対効果・コストパフォーマンスは常に意識されるところです。ここではLooker Studio Proの利用料金や契約について見ていきます。
月額料金
Looker Studio Proはサブスクリプション形式で提供されており、ライセンスを購入する必要があります。
通常はユーザー単位での購入になり、利用料金は1ユーザーあたり月額$9です。なお、そのライセンスの使用状況にかかわらず、毎月請求が行われます。
なおユーザー単位でなく組織単位でのサブスクリプションもあります。この場合、組織内の全ユーザーがLooker Studio Proを利用でき、料金はMAU(Monthly Active User:月間アクティブユーザー)あたりの月額費用が発生します。この形式は大規模な組織でのみ利用可能で、Google Cloudセールススペシャリストと連携して設定する必要があるため、詳しくはGoogle Cloudや販売パートナーに問い合わせてください。
支払い方法
利用料金の支払い方法は、クレジットカードによるドル建て決済となります。請求書払いや円建てでの支払いは行えませんのでご注意ください。(代理店経由の場合は請求書払いに対応している場合もあります)
Google Cloudの契約
Looker Studio Proは、Google Cloud(Googleのクラウドサービス)に属するサービスであるため、利用にあたってはGoogle Cloudの契約が必要になります。
Looker Studio Proのサブスクリプションは全て1つのGoogle Cloudプロジェクトに紐づけられています。既存のGoogle Cloudプロジェクトに設定できますが、新しいプロジェクトを作成することもできます。
Looker Studio Proへのアップグレード方法
Looker Studio無料版からLooker Studio Proへのアップグレードは、以下のいずれかから行います。いずれも画面の指示に従ってスムーズに設定を進められるかと思います。
- Looker Studioのダッシュボード ※「Pro サブスクリプション」をクリック
https://lookerstudio.google.com/ - Google Cloudコンソール
https://console.cloud.google.com/looker-studio/home
なおLooker Studio Proを登録・利用するには、次の要件を全て満たす必要があります。
- Google WorkspaceまたはCloud Identityのアカウント(末尾が「@gmail.com」ではないもの)でログインする
- Looker Studio Proに使用するGoogle Cloudプロジェクトへのアクセス権を所持している
- Looker Studio Proに使用するGoogle Cloudプロジェクトを所有する組織と同じ組織に属している
- Looker Studio Proに使用するGoogle Cloudプロジェクトが、現在「Proサブスクリプション」に使用されておらず、かつ有効な請求先アカウントにリンクされている
アドレポとLooker Studioの併用でレポーティング業務を効率化
今回はLooker Studioの有料版であるLooker Studio Proについて解説しました。中規模・大規模企業や公的機関などのエンタープライズ向け仕様ということで、組織単位での管理機能や高い可用性、テクニカルサポートなどが備わっており、システム運用者にとってはより安心感を持って利用できるでしょう。自社の組織的なデータドリブン実現に向けてぜひ積極的に導入をご検討ください。
様々なビジネスシーンで活用できるBIツールですが、Webマーケティングに関わる方々にとってLooker StudioのようなBIツールが特に力を発揮するのは、運用型広告におけるデータ分析やレポーティングです。リスティング広告やディスプレイ広告、SNS広告など複数の広告媒体の運用成果を整理・可視化したレポートをもとに、KPI達成に向けての最適化・PDCAを行い費用対効果を継続的に高めていくのが目的です。
そしてLooker StudioによるWeb広告データの統合・可視化をより効率的に行えるのが、当社が開発・提供している「アドレポ」です。
アドレポは各種Web広告媒体とのAPI連携により運用データ収集やレポート作成を自動で行えるレポートツールです。Google・Yahoo!・Facebook・LINEなど20以上の広告媒体に対応しており、接続設定も簡単。さらにアドレポはBigQueryへのデータ出力も可能なため、BigQuery経由でLooker Studioとアドレポを連携させれば複数媒体のレポーティング作業を効率化できます。
アドレポとLooker Studio Proの併用によって、組織・チーム一丸でインハウス広告運用の効率化と多角的な分析とブラッシュアップを目指しましょう。
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